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 清澄白河の深川江戸資料館で30日、「江東区伝統工芸展」が始まった。同区の無形文化財に登録されている18人の職人の伝統技術実演を間近で見たり、一部体験(有料)したり、購入したりすることができる。初日は平日にも関わらず、職人の技を見ようと、朝からにぎわっていた。11月3日まで。

べっ甲細工職人の磯貝さん

べっ甲細工の実演をする磯貝さん

 「べっ甲細工師」の磯貝實さんは現在、先代から受け継いだ限られた材料で日々、アクセサリーなどの作品を作り続けている。「べっ甲」(「タイマイ」という中南米に生息するウミガメの甲羅)は、ワシントン条約で輸出入が禁止されているので、今後の材料の供給には期待できないため、端材でも大切に活用している。

 磯貝さんはかんざしを手に取り、「こういうものでも、作ればなぜだかすぐ売れてしまうんですよ」と話す。それなのに同業者がどんどんいなくなることが残念でならないという。5万人いた職人はいま、100人程度に激減。以前は切り出しから型どり、磨きなどを別々の職人が流れ作業のように行っていたが、いまではひとりの職人が一貫して作業を行い、販売まで手掛けているという。

 「接着剤なしで薄いものを圧着させて厚くしたり、曲げたり、いろいろな形に加工できるのがすごいでしょう」と「べっ甲細工」の魅力と造形の可能性を熱く語る磯貝さん。
 
 3人いる息子のうち、ひとりでも後を継いでくれれば、と思っていたところ、3人とも「べっ甲細工師」になり、若者ならではの現代風の斬新なデザインに期待が高まる。

 まだ「べっ甲」の在庫は十分にあるものの、今後の供給が一切ないというのは不安なもの。そこで、「べっ甲細工」の伝統を維持するために、国が石垣島で国産の「タイマイ」養殖を実験的に取り組んでいるという。ここのところ、後継者と材料の供給問題に明るい兆しが見えてきたという。

あめ細工職人の青木さん

あめ細工の屋台もすべて手作りだという青木さん(左)

 「あめ細工職人」の青木喜さんはこの道60年。祭礼や縁日に店を出し、注文のどおりの形にあめを作って売っている。

 「こういう屋台の道具を作ったのは、あたしが初めてですよ。いま、あめ細工職人はいっぱいいるけど、水あめから作っているところは少ないよ」と男気質に豪快に笑った。

 タドンとよばれる鍋であめを温め、ピンポン玉くらいの大きさにちぎり、棒(数年前までは葦を使用)に刺して、指と和ばさみを使って成形する。干支の動物や鳥、ユニコーンが得意だが、子どもに頼まれてアニメのキャラクターを作ることもあるそうだ。

 そのほか、連日さまざまな職人の実演や体験プログラムは開催される。詳細は江東区地域振興部文化観光課文化財係、電話03-3647-9819まで。

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