「ぎょしゃ座」はとても見つけやすいけれど、真上にあるので、首を痛めないように!(写真提供:葛飾区郷土と天文の博物館)

 今回ご紹介する星座は、首の運動が必要になります。宵の空、真上を見上げてみてください。ひときわ明るく輝く黄色っぽい星がすぐに見つかります。一等星「カペラ」です。

 カペラと、その周りにある星を結ぶと、五角形を描くことができます。

 これが「ぎょしゃ座」です。

 前回ご紹介した、おうし座の角の星とつながっているので、おうし座からたどってみるのもよいですね。そのキレイな五角形は、日本各地で「五角星」や「五つ星」と親しまれるほど。

 形がとてもわかりやすい星座ですが、一つだけ欠点があります。真上にあるので、見ているとすぐに首が疲れてしまうことです。首がつらないように、しっかりと首の運動をしておきましょう。

東京で見える星たち

「ぎょしゃ」って何? この星座にどんな神話があるの?

「ぎょしゃ座」、牝山羊を優しく抱えた男の姿に見えますか?(写真提供:葛飾区郷土と天文の博物館)

 漢字で書くと「馭者(御者)」、つまり馬車の運転手。ギリシア神話では、登場するアテナイ(アテネ)の国の王・エリクトニウスということになっています。でも、何で王様が馭者なのでしょうか。

 大神ゼウスの子で炎と鍛冶の神ヘーファイストスと女神アテネとの間に生まれたエリクトニウス。彼は父親に似て片足が不自由でしたが、それをものともせず車椅子のかわりに四頭立ての馬車を作り、馬車を巧みに操り戦場を駆け巡りました。また、人民を思いやる政治を行う大変人柄のよい王でもありました。その王を讃えて、ゼウスが星座にしたと言われています。

 でも、星座の絵では、片手には手綱、もう片方には小さな山羊を抱えた姿。とても王様の姿には見えません。手綱はいいとして、どうして山羊を抱えているのでしょうか。それにはまた別の物語があるのです。

 大神ゼウスの父親クロノスは、「自分の子に王の座を奪われる」という予言をおそれて、子が生まれると食べていました。

 しかし妻ノアは、子を守ろうとある日「はい、赤ちゃんよ」と嘘をつき、布にくるんだ石をクロノスに渡しました。

 こうして助かった赤子がゼウスだったのです。ゼウスはクレタ島に逃れたのち、山奥で牝山羊の乳によって育てられました。そして予言のとおり、父親クロノスから王の座を奪い大神ゼウスとなりました。

 おそらく、ゼウスは自分の孫エリクトニウスの功績と人柄を表現するために、自分を育ててくれた牝山羊を優しく抱えた男の姿を描いたのかもしれませんね。