夜の荒川を親しむとともにいつ起こるかわからない災害への意識を高めることを目的にした「荒川ライトアップ」が東京・足立区の都市農業公園をメイン会場にして、このほど開催された。

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[写真]東洋大学が制作した光のオブジェは、会場内でひときわ幻想的な光を放ち、多くのギャラリーが見入っていた

 埼玉県と東京都を流域とする荒川は親水空間として憩いの場として活用されているほか、防災機能としての役割も併せ持つ。2015年9月に茨城県常総市で鬼怒川が決壊した水害は自治体の防災体制の見直しを迫られただけではなく、私たち一般市民にもいざという時に備えなければならないという教訓をもたらした。

 荒川の河川敷は災害時の避難場所になっているが、日常的には足を運ばない場所だけに馴染みは薄い。そこで、荒川にもっと親しんでもらおうと今回のイベントが企画された。

 会場には、東京電機大学や東洋大学が制作したオブジェやかがり火などが設置されて、普段は明かりのない夜の河川敷を明るく照らした。

[写真]震災体験車では、震度7の揺れを実際に体験

 また、50メートル離れた距離でも新聞を読めるほど明るい光を放つことができる照明車の展示・実演や起震車による地震体験、警察車両・消防車両・自衛隊車両の展示などもおこなわれた。

 会場になった荒川は江戸時代に洪水が頻発し、明治時代になってからもたびたび氾濫。そうしたことから、治水対策として放水路を建設している。

 昭和5年に完成した放水路は、昭和22年のカスリーン台風で4.5メートルの増水に見舞われても、街を浸水から守る役割を果たした。

 カスリーン台風の脅威を実感するとともに、災害意識を高めようという試みから、今回のライトアップでは河川敷の土手4.5メートルの地点にイルミネーションが設置された。

 国土交通省は荒川の災害情報をリアルタイムで配信しているほか、ハザードマップポータルサイトも公開しており、常日頃からチェックすることを呼びかけている。

(小川裕夫=フリーランスライター)