「いきなり!ステーキ」と「ペッパーランチ」、どちらも同じ会社が運営するステーキチェーン店ですが、いくつかの地域では、両方の店舗が極めて近い距離で営業しているケースがあります。同じステーキ店で、しかも同じ会社の店同士で、需要の共食い(カニバリゼーション)を起こしはしないのでしょうか。

両店の距離は約60〜70メートル

「いきなり!ステーキ」のワイルドステーキ300g

 東京都墨田区にあるJR錦糸町駅南口付近。「ペッパーランチ錦糸町南口店」から近くの交差点を右に曲がると、すぐに「いきなり!ステーキ錦糸町店」の看板が見えてきます。両店の距離は、道沿いにいっても約60〜70メートルしか離れていません。

 錦糸町以外にも、神奈川県横須賀市、大阪市浪速区、奈良県橿原市、広島県府中町などでも両チェーンの店舗が比較的近くにあります。

かえって相乗効果を産んでいる

JR錦糸町駅南口付近、同じ系列のいきなり!ステーキ(左)とペッパーランチが極めて近くで営業している

 両チェーンを運営するペッパーフードサービス取締役の川野秀樹さん(51)は「カニバリゼーションは起こしていません。逆に相乗効果を生んでいます」と話し、「いきなり!ステーキ」も「ペッパーランチ」も両者が売り上げを伸ばしているといいます。

 ペッパーランチ錦糸町南口店が営業していたこの地に、「いきなり!ステーキ錦糸町店」が進出したのは2014年でした。「チャレンジングな試みでした」と振り返る川野さんですが、進出以降、「いきなり!ステーキ」だけではなく、「ペッパーランチ」の方も売り上げが好調に推移しているのだそうです。

 「いきなり!ステーキ」の近くにあるペッパーランチが売上を伸ばす理由について、川野さんは、「いきなり!の方が商圏が広いため、ペッパーランチに顧客を連れてきたのではないか」と見ています。

 最初は「いきなり!ステーキ」を目的に訪れても、店の前に人の列ができていると、そのまま後ろに並んで待つより近くの「ペッパーランチ」で食べよう、という人が現れ、次第にリピーターが増えたのではないか、というわけです。川野さんはまた「いきなり!ステーキの魅力は、目の前で肉を切るところにある」と話し、両者のサービスに大きな違いがあると強調します。

 「いきなり!ステーキ」では、1000円を切る肉メニューはなく、一部メニューを除き、コックが注文のグラム数に応じて、客の目の前で肉を切った後、炭火で肉を焼いてくれます。これに対して「ペッパーランチ」は、約300度に加熱した鉄皿にスタッフが肉や温野菜を盛り付けて2~3分で提供するスタイルで、客が鉄皿の上で自ら焼きあげます。メニューを見ると、700円のサービスステーキなど1000円以下の品目が複数あります。

 二つの店をよく利用するという、墨田区に住む40代の会社員男性も「ふだんは『ペッパーランチ』で食べることが多いのですが、財布に余裕があるときは『いきなり!ステーキ』に行きます」と話していました。

この記事が気に入ったら「いいね!」をお願いします