東京都は、電線の埋設化などによって電柱をなくす「無電柱化」をさらに推進するための条例案制定に向けて準備を進めています。3月31日には条例案の概要を公表し、4月14日まで都民から意見を募集しました。都は今後、集まった意見を反映させた条例案を、6月に開かれる都議会に提出する予定です。制定されれば、都道府県レベルでは初の無電柱化条例となりますが、この条例で東京の無電柱化は進むのでしょうか。

都道での新設禁止

[写真]昨年12月、無電柱化条例に関する方針を明らかにした小池知事(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 無電柱化は、衆院議員時代から無電柱化に関心を持つ東京都の小池百合子知事が注力する政策。小池氏は条例の目的について、(1)都市防災機能の強化、(2)安全で快適な歩行空間の確保、(3)良好な都市景観の創出を図る、などと説明しています。

 公開された条例案の概要のポイントは、都道での電柱の新設を禁じたこと。いまある都道全線(約2200キロメートル)については電柱の増加がほぼストップします。具体的には、災害時に緊急輸送道路や避難路として使われる道路での電柱の新設を禁止、もしくは設置制限を行うほか、電力会社などの関係事業者が開発事業を行う際に電柱・電線を道路上に新設しない、としています。

 都道だけではなく、区道や市道にも無電柱化を広げるために、区市町村と連携しつつ、基本方針や計画を定めることも盛り込んでいます。都はすでに2014年に無電柱化推進計画を策定済みですが、この条例の制定後は、さらに強化した新たな計画が策定されるとみられます。

課題は「区・市道」

 今回の条例案について、国の無電柱化推進のあり方検討委員会の委員を務める東京女子大学現代教養学部の二村真理子教授は「条例案の内容は、昨年12月に成立した国の無電柱化推進法に準じるもの」と指摘。「法的なバックボーンができたことで、推進する力がより強まると思われる」と話します。

 一方、無電柱化にくわしい別の専門家は「条例の制定で都道については無電柱化がかなり進むだろうが、問題は区市町村道。都が区市町村道の無電柱化にどの程度関われるかが次の焦点」と指摘します。2016年4月1日現在、都道は総延長2363キロメートル(都の道路全体の9.6%)なのに対し、区市町村道は2万1762キロメートル(同88.7%)と大半を占めています。都は、補助金やノウハウの提供などを通じて区市町村の無電柱化を後押しする方針ですが、それらの施策でどこまで区市町村の無電柱化が推進できるかがカギになります。

 無電柱化にかかる費用も課題です。1キロメートルを無電柱化するには、フランスや米国では数千万円台なのに対し、日本では約4億6500万円を要するとされています。条例案では、都と関係事業者がコスト削減のために調査研究を行うことが盛り込まれています。

 都は電線などを従来よりも浅く埋める方法を採用することで工事コストの低減化を図る方針です。 工事費のコスト削減がどこまで進むかもまた、無電柱化の進展を左右する要因となります。
 
(取材・文:具志堅浩二)

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