9月初旬、東京千代田区の日比谷で再開発を進める三井不動産が、来春に開業させる複合高層ビルの名称を「東京ミッドタウン日比谷」と発表しました。

 東京ミッドタウン日比谷は、地上35階、地下4階。低層階はファッションや飲食などのテナントが入居し、上層階はオフィスとしての利用が想定されています。東京ミッドタウン日比谷の周辺は劇場街になっていますが、道路を挟んで日比谷公園が立地するなど都心部とは思えないほど緑が豊かです。そうした好環境も手伝って、東京ミッドタウン日比谷の開業には街が活性化するとの期待が高まっています。

 華やかな開業の舞台裏で、関係者たちが右往左往する事態が起きていたことはあまり知られていません。その騒動は、三井不動産のみならず日比谷公園の反対側に位置する総務省をも巻き込むものでした。

 一体、東京ミッドタウン日比谷の計画の裏で、なにが起きていたのでしょうか?

ビル建設「ヘリポートが使えない」 記事きっかけで騒然

日比谷公園から望む東京ミッドタウン日比谷。来春の開業に、早くも大きな期待が寄せられている

 事の発端は、2013(平成25)年の秋に発売された週刊誌『AERA』に掲載されたひとつの記事でした。記事の内容を要約すると、こうなります。

 「総務省・警察庁・消防庁・海上保安庁などが入居している合同庁舎2号館の屋上には、ヘリポートが設置されている。日比谷エリアに三井不動産が新たに建設を計画しているビルが竣工すると、そのヘリポートは航空法の高さ制限に抵触してしまう。ビル建設によって、ヘリが発着できなくなる可能性が出てきた」というものです。

 総務省が入居する合同庁舎2号館は、2000年に竣工しました。庁舎と同時にヘリポートも設置されましたが、手続きの関係で供用開始は2004年からになりました。

 以降、年間100件弱の使用実績があります。近年では、2015年に関東北部で起きた鬼怒川水害の際に、石井啓一国土交通大臣が現地へと足を運ぶために使用されました。また、昨年に起きた熊本地震でも現地に職員を派遣するために使用されています。

 当該記事が掲載された『AERA』の影響で、合同庁舎2号館を管理している総務省は騒然となりました。ヘリポートの進入経路にあたる東京ミッドタウン日比谷が計画通りに完成すれば、合同庁舎2号館のヘリポートは使用できなくなってしまうからです。

 官庁が集積している霞が関一帯には、合同庁舎2号館以外にも総理官邸や警視庁などにヘリポートが設置されています。東京ミッドタウン日比谷は、こちらの進入経路にはかかっておらず、支障をきたすのは合同庁舎2号館のヘリポートだけでした。

 しかし、合同庁舎2号館のヘリポートは、災害などの緊急時にもっとも多く使用されています。合同庁舎2号館からヘリが発着できなくなれば、中央官庁のみならず国民生活にも影響を及ぼす一大事になるのです。

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