東京都福生市は、市の面積のうち約3分の1を横田基地が占める

 村上龍の小説「限りなく透明に近いブルー」など、小説や映画の舞台として再三登場する東京都福生(ふっさ)市は、市の面積のうち約3分の1を横田基地が占める「基地の街」だ。戦後72年、人々は基地をある程度受け入れてきたが、北朝鮮のミサイル問題には不安も感じている。もうすぐ衆議院選挙の投票日。福生の街を歩きまわって、この地で暮らし、日々の糧を得る有権者の争点を聞いた。

本土最大の米空軍基地、自衛隊も共同で使用

英語と日本語で書かれた警告文のプレート

 JR青梅線の牛浜駅から住宅街を歩くこと約10分。交差点の向こうに、横田基地第5ゲートの赤く重そうな鉄製の門扉が姿を現した。脇には、基地の看板と、英語と日本語で書かれた警告文のプレートがある。「基地司令官の許可なく、此の区域に立入ることは、法律違反」などと記されている。

 福生市は人口約5万9000人、東京都心から約40キロメートル西方に位置するベッドタウンだ。今回の衆議院選挙小選挙区では、多摩西部の5市3町1村で構成される東京25区。現職2人、新人2人の計4人が立候補する。

 市の東北部には、横田基地がある。福生市をはじめ、立川市、昭島市、武蔵村山市、羽村市、瑞穂町の5市1町にまたがるが、基地が占有する面積が一番多いのは福生市だ。

 元は旧日本陸軍の多摩飛行場だった。第二次世界大戦後に米軍が接収し、1946年に横田基地を開設した。米軍の地図に「YOKOTA」という地名が記されていたため、「横田」という名が付けられたという。沖縄を除けば日本で最大の米国空軍基地であり、在日米軍司令部と第5空軍司令部が置かれる極東の主要基地となっている。2012年からは、日本の航空自衛隊も共同で使用する。

国道16号沿いの店

レトロな外車が展示されたクレープ店

 横田基地の横を走る国道16号沿いには、カラフルな装飾の雑貨店や、レトロな外車が展示されたクレープ店など、アメリカンな雰囲気の店舗が点在する。かつては米軍関係者でにぎわったという話だが、基地内の人口は1970年の約1万3100人から2015年には約7870人と減少傾向にあるせいか、現在、これらの店の売り上げを支えるのは日本人の客だという。

 「平日はこの界隈の人々が訪れ、週末は市外の人々が訪れます。客入りはまずまずですね」と話すレストランの男性経営者(39)の関心事は消費税だ。

 衆院選では、自民党が消費税増税分を子育て支援などの社会保障に充てると公約に掲げる一方、希望の党は景気回復がまだ実感できない層があるとして増税凍結を、共産党は増税反対を訴える。経営者は「消費税が上がれば影響は結構出るでしょう。仕入れの負担も増えますし」と気をもむ。消費税の増税については、その他の店からも影響を心配する声が相次いだ。

 北朝鮮の核兵器開発をめぐり、緊張が高まる。8月、9月と、北朝鮮は、北海道上空を通過する弾道ミサイルの発射実験を実施した。早朝、政府が発したJアラートに驚いた人も多いだろう。

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