本来なら得られる税収が、東京23区は収奪されてばかりいる ── 。ふるさと納税ブームが過熱して流出額が大きく膨らみ始めると、そんな批判も噴出するようになりました。ふるさと納税によって流出する一方だった東京23区の自治体でしたが、今年に入って変化の兆しが見られます。

 その先駆けとなったのは、7月にプロジェクトの開始を宣言した文京区の“子ども宅食プロジェクト”です。豪華な返礼品を用意しない同プロジェクトは、区の想定を上回る金額が集まりました。「文京区に続け」と、ほかの特別区もふるさと納税を検討。単に広くお金を集めるためだけに制度を活用するのではなく、ひとつの政策に特化したテーマ型と呼ばれる手法で、ふるさと納税を活用するケースが増えてきているのです。

税流出に危機感、本年度は31億円減の見込み

宮の坂駅前に保存展示された旧玉電車両。傍目にも、サビが目立っているのがわかる

 豪華な返礼品が話題になったふるさと納税ですが、昨今は過熱気味になり、総務省から豪華な返礼品を自粛するように、との通知もされています。一方、これまでふるさと納税を静観していた東京の自治体でも、ふるさと納税に対するスタンスに変化が生じています。

 文京区に続け、とばかりに、新たな声を挙げたのが世田谷区です。世田谷区は、ふるさと納税によって2016年度の区民税が16億5000万円も減収。本年度は、さらに31億円も減収する見込みです。

「財政が豊かだと思われている東京23区ですが、その一方で待機児童問題・高齢者対策・環境問題などを抱えています。世田谷区でも、早急に解決するべく課題を抱えています。これらを解決する財源を確保するためにも、多額の税収が流出するふるさと納税を黙って眺めているわけにはいきません」と話すのは、世田谷区地域振興課の担当者です。

 税の流出に頭を悩ませるとともに危機感を強めた世田谷区は、対抗手段としてふるさと納税に新しいメニューを追加したのです。このほど、新たに加えられたメニューが宮坂区民センター前広場に保存展示していた「展示車両の補修整備等事業」と「大蔵運動場陸上競技場スタンド改築」の2つです。そのうち、世田谷区は「展示車両の補修整備等事業」に力を入れています。

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