2018年、ふるさと納税制度がスタートしてから10年目を迎えます。当初、ふるさと納税の額は微々たるものでしたが、各地の市町村が競うように豪華な返礼品を贈るようになり、また制度が簡略化されたことでふるさと納税額は急増。いまや、各地の市町村は肉や魚といった地元の特産品を全面に押し出し、返礼品合戦の様相を呈しています。

 最近では、インターネットサイトで各自治体の返礼品を一覧で見られるようにもなり、まるでカタログギフトのような印象を抱かせます。過熱する返礼品合戦は、地方自治体関係者から“官製通販”と揶揄されることもありました。地方の市町村が豪華な返礼品で多額のふるさと納税を集める一方、東京や大阪といった大都市の自治体は減収というしわ寄せが起きています。

地方に“対抗策”打ち出す自治体も

「ふるさと納税」に異議を唱えるために、杉並区が制作・配布したチラシ

 特に、ふるさと納税によって大幅に減収したのは、東京23区です。世田谷区では30億円8000万円、港区では23億5000万円、杉並区では13億9000万円といった具合に、多額の区民税収が2016年度に流出しています。

 こうした事態を重く受け止め、2017年に総務省は豪華な返礼品を自粛するよう各自治体に通知しました。総務省の通知によって、いったん返礼品合戦は鳴りを潜めます。しかし、最近になって再び返礼品合戦が過熱する兆しが出てきています。

 一方、東京23区は、過熱する返礼品合戦に参戦していません。東京23区は、“豪華な返礼品で、ふるさと納税を募る”ことには一貫して反対してきたからです。そのため、今でも、“豪華な返礼品”を用意していません。

 しかし、税の流出額が増加したため、東京23区の中でも対抗策を打ち出す自治体が出てきています。文京区は、貧困家庭を支援する“こども宅食”事業を、世田谷区は“玉電の車両保存”という特定の政策に絞った“テーマ型ふるさと納税”を発表。これらは、返礼品に頼らない、ふるさと納税の新しい形というモデルを示しました。