今年10月11日の開場まであと半年となった豊洲新市場(東京都江東区)だが、建設予定の商業・観光施設「千客万来」の着工見通しは立っていない。昨年6月に東京都の小池百合子知事が示した築地再開発案に運営会社が反発。両者の話し合いが続けられてはいるが、具体的な進展はなく、事業実施の確約が得られない状態だ。

【中継録画】豊洲市場の移転時期を決定 小池都知事が会見(2017年12月20日)

両立どう図るか「具体的な話ない」

[イメージ図]「千客万来」施設の景観(東京都の資料より)

 千客万来は、築地場外市場のようなにぎわいを豊洲新市場にもたらす目的で、市場敷地内に飲食店や温浴設備を整備する計画になっている。

 豊洲市場への移転を延期した小池知事が昨年6月、市場移転の基本方針を発表。中央卸売市場機能を豊洲市場に移転する一方で、築地市場跡(東京都中央区)を「食のテーマパーク」として再開発する案を示した。この築地再開発案に対して、千客万来の運営会社「万葉倶楽部」(神奈川県小田原市)が、豊洲からほど近い築地に同じような飲食施設を設置されると採算が取れなくなるなどとして、事業撤退も視野に反発した。

 小池知事は昨年11月、築地跡地と千客万来との「両立」や「相乗効果」を図る方針を示して理解を求めた。その後、都と万葉倶楽部との間で協議が続いているが、万葉倶楽部によると「両立をどう図るのかなどの具体的な話は出ていない」という。

 築地再開発については、都の築地再開発検討会議で話し合われているが、現段階で千客万来を含めた個別施設との連携に関する議論には至っていない。

 これまで都は、豊洲市場のある江東区に対して、豊洲移転と地元振興に貢献する千客万来はセットになっていると説明してきた。江東区も、市場受け入れの前提として「土壌汚染対策」「にぎわいの場の創出」など3つの実施を求めてきた経緯があり、「千客万来はなくてはならない存在」と確実な整備に期待している。

 小池知事は30日の定例会見で、運営会社側との協議について「担当が具体的な詰めの話をしているところ。引き続き事業者とコミュニケーションを図りつつ、事業実施の確約を得られるよう努力を重ねている」と説明。「江東区の皆さんからも『にぎわい施設を』という話もある」として地元の江東区への配慮も示した。

 運営会社によると、千客万来は現時点で着工できていないため、今年10月11日の豊洲市場開場には間に合わず、2020年の東京五輪・パラリンピックまでのオープンも難しい可能性があるという。小池知事は「まずは(事業実施を)決めてもらうことが1つ。それから工法などによって、(完成の)タイミングは変わってくると思う」と語った。

(取材・文:具志堅浩二)

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